2019-03-04
育成

鎖国状態にある日本サッカーの現場?

戦術的ピリオダイゼーション、ポジショナルプレー、5レーン理論、ハーフスペース、ストーミング、ゲーゲンプレッシング、レイオフ、チャンネルetc..最近サッカー用語がどんどん増えてきています。様々な日本人指導者が海外に行き、そこで使われている単語や、新しい理論を日本語または横文字にして情報配信してくれています。

私自身、なんかカッコつけているようにも感じて、はじめは少し抵抗もありました。ただ、そこを掘り下げてみて、特に理論についての言葉や単語は、調べていけばいくほど、サッカーをよりわかり易くしていく言語化、理論化に繋がっています。難しいのは言葉の定義がまだ定着していないと、フワッとしてしまう事や、書き手や各々で認識が違ったりすることもあります。

そのためネットやら精通している方や選手、海外にいる指導者に聞いて、出来るだけ情報を蓄積して、目の前の選手に必要なものとそうでないものを精査していくよう心掛けています。

サッカーをより理解するためには、ボールをしっかり止めて蹴る、ドリブルがうまい、オフ・ザ・ボール、タイミング、という個人の技術的な話ももちろん大事ですが、サッカーを11人対11人のスポーツとして捉え、逆算して、わかり易く伝えていくことが大切だと思っています。

また、これらのどんどん出てくる新しい言葉はそれだけ新たな角度からサッカーを見て、分析していく、更に進んでいく世界のサッカーの進展スピードでもあります。

どんどん進む世界のサッカーに対して、日本はその潮流に乗れているのでしょうか?

こうした言葉について、サッカー協会からの発信にはあまり記載がありません。訊ねてみても、あまり肯定的な言葉は聞けないこともままあるそうです。

日本にはJapan’s Way という言葉があり、なでしこがワールドカップで優勝したような日本人の特徴を生かしたサッカーを、というのが掲げられています。あの時のなでしこのサッカーは見ていてワクワクしました。

ちなみにこの年、チャンピオンズリーグで優勝したのが、いまも伝説的なチームとして語られるグアルディオラが率いた最強バルセロナ時代です。

ティキタカと呼ばれる、ショートパスを駆使し、即時奪還の超ハイプレス、ファルソヌエヴェ(偽9番といわれる戦術)のメッシが躍動したサッカーでした。

このグアルディオラは次々に新たな戦術を考案し、世界中の注目を集める指導者です。

アジアカップではアウェイとはいえ、PKのお陰で何度救われたか?という辛勝も多く、決勝のカタールには国を挙げた育成改革の結果を見せつけられました。それ以前のワールドカップでベスト16になったとしても、戦績は1勝1分2敗でした。また衝撃的なのは先日のU-18の日本代表対スペイン代表との0-4という大敗。

それぞれの過程では、急造チームだったとか、経済的な差であり、様々な要因もありますが、単純にこの結果を受けて、このままでいいのか?という疑問でいっぱいです。

私自身、スタジアムの通訳ボランティアとして参加して、目の前で見た2002年のワールドカップの時に感じた日本の躍動感、これからの日本サッカーの明るい未来!へのイメージは、いまは全くもって感じません。あの当時よりも世界との差は広がっているように思います。

ドイツですら育成の現状に危機感をもっている

2014年にワールドカップで優勝し、その後も優秀な若手が輩出しているドイツでも協会のカンファレンスで、いまのままだとドイツの育成は停滞してしまうといい、さまざまな新たな取り組みが行われているそうです。

低年齢では4ゴール系式のゲームを標準化したり(一部の地域)、いかに全体の底上げができるように育成普及するか?の具体案を次々と提示しているようです。

あるドイツ人で世界の多くの国々(アジア、ヨーロッパ、アフリカetc)で行われている練習方法を調べた方の結果では、80%の国が、単純なドリル形式のトレーニング、頭の中で起こっている思考回路の順から、観る(認知)→判断(考えて)→選択(どんなプレーをするか)→実行(行動に移す)の実行にのみ特化している練習を大部分の時間を行っていて(走るだけの練習?も含まれているようですが)、その他20%の国が上記の4つのプロセスを経たトレーニングを行っているそうです。

また、ゲーム形式に何らかの設定やルールを設けた形で、試合の中でこういうプレーをしていこう、という狙いを見出すようになっているそうです。

トレーニングについては、グローバルトレーニングやシステミコメソッドと呼ばれるC級やB級でも行うようなトレーニングにもいくつかあります。ただ、現状の日本では昔からあるドリル形式が多く、ゲーム形式でも目的が曖昧な部分が多いようです。

何よりもこのゲーム形式のなかで獲得して欲しいこと、についての捉え方が少し違うように思います。ゲームの目的が、突破のドリブル、ファーストタッチ、体の向き、もしくは特定の技だったりする場合があって、目的よりも手段になってきています。

例えば、ドイツやスペインなどでは、サイドを広く使うというコンセプトがあれば、真ん中のゴールだけでなく、両サイドにミニゴールを設置したりして、自然と両サイドから展開することが増え、オーバーラップ、サイドチェンジや、サイドの突破が増えます。

これは同時に守備側の1対1の対応もカバーやスライドの練習にもなります。チームとして、どんなサッカーがしたいのか?相手より多く走る、気持ちで負けない、戦う姿勢、という客観的に評価しにくい事柄ではなく、より物事をわかり易く順序立てて伝えていくことが、まだ少ないようです。

20パーセントのいわゆるサッカー先進国多くの場合が、個人や小グループでなにをするかの前に大枠の、チームとしての目的があり(コンセプト)、それを個々で実践するための個人戦術などがあるのですが、どうも逆な気がします。

それでも世界の80%の国が、同じとは言わなくても、日本のそれと似たようなドリル形式のトレーニングを行っているということです。

だから日本も…で、いいとは思えません。
その他の20%こそがトップなはずです。それをどう取り入れるべきか。

子供たちが求めているのは日本レベルではなく、世界!

日本では新たな言語、理論がなかなか浸透しない。(島国の特徴でもある。イギリスもサッカーの革命が起きるのが大分遅れていた)その結果なにが起きるかというと、冒頭にある、ポジショナルプレー(チーム戦術にあったポジショニング)、5レーン理論、ハーフスペース(という概念)、ゲーゲンプレスというチーム戦術よりも、従来のどこにボールを止めよう、1対1に強くなる、本気で取りに行く!ということが優先されてしまい、いつ、どこで、なにを優先して判断するかが抜けてしまう。

本気で取りに行け!パススピードは強く!シュートは四隅へ!コントロールはオープンに(?)これらもとても大事です。ただその前に臨機応変にプレーするための基準はどこにあるのか?

そこを変えていかなくては、日本のサッカーはなかなか前に進まないと思います。海外で適応している選手の多くは自力で、自分の強みと弱み、何をチームで求められているのか?という部分を改善しています。日本での評価がトップトップじゃない選手の方がその傾向は強いです。海外にいって花開く。

人材はきっといます。あとは環境を作る大人たちの頑張りです。

日本人の若い指導者がたくさん海外にでて学び、SNSから発信されていたり、書籍を介してヨーロッパのトレンドについても学べる時代です。

気になる言葉があれば、ネットで調べればすぐ出てきますし、動画による可視化もされています。日本にだけ目を向けるのではなく、世界にも目を向けましょう。子供たちが憧れている選手やチームの多くは世界になってきています。Jリーグにも多くの外国人監督がいます。日本人監督との対戦やサッカーの志向や選手のコメントにも注目していきたいですね。


チャンピオンズリーグのラウンド16も注目です。

少し先ですが、日本代表としては、国の威信を賭けて戦う相手とのコパ・アメリカでどんな戦いを見せられるのか、楽しみです。

私自身、まだまだ勉強不足なことが多く、わからないだらけです。海外で指導されている方から話を聞いたり、有料の指導者向けの情報発信サイトに入ったり、文献を原語で読んでみたり、もしくは和訳されている本を調べたり、を心がけています。

それらを子供たちに伝えると、最初はポカンとします。でもそれは習熟度の問題で、いきなりグローバルトレーニングを幼稚園の子供に求めても難しいです。ただそこに少し設定を変えて、子供たちのレベルに合わせてトレーニングを再構築していくと、色々取り入れることができるものです。子供たちも変わっていきます。

先日受けた、ラグビーの指導者講習会では、子供たちの学びには『喜び』があります。ただ大人の学びには『痛み』があります。と聞いてハッとしました。新しい用語を一目見てこれは難しい、これはうちの子には無理、ではなく我々指導者があと一歩学び、適応できるものにしていく事で、今の日本をもう少し後押しできるのかな?と考えています。鎖国から開国した日本は、文化の違いに圧倒されるも、その後ものすごい早さで適応できた歴史もあります。日本人の勤勉さは、外国から来たどの指導者も認めています。

やればできると自分を信じていきたいです。

二田水 晶