2018-06-21
育成

トレーニングの原理原則とスクールのトレーニング

毎回スクールのトレーニングを考えるときに、いくつかのポイントを押さえ、そこからの発展を求めています。先日書いた、トレーニングの量と質の部分でも触れましたが、そもそものトレーニングの原理原則を基盤に、そこからの競技スポーツとしての特性と、ゼルバサッカースクールのゲームモデル、トレーニングモデルの構築としています。

 

ゼルバのトレーニングとしては、楽しみながら、個々のスキルを伸ばし、グループで機能し、全員が高い強度と集中力をもって、サッカーを理解していけるように組んでいます。

トレーニングの原理原則とは

一般的に、トレーニングの原理とは、

① オーバーロード(過負荷)の原理
トレーニングの効果を得るためには、今ある状態、能力を刺激する負荷、強度で行うことが求められます。ある程度きつい状態で行うことで効果は表れない。但し、負荷の加減は体の状態や年齢に応じて変えます。スクールでは101%という言い方をしています。

 

② 特異性の原理
トレーニングによってどこをまた何を鍛えるかが変わってきますので、目的を明確にしてどんな方法をとるかが大事になります。

③ 可逆性の原理
トレーニングを通して得られた効果も、トレーニングをやめてしまうと、体の機能自体はもとに戻ってしまいます。 

次にトレーニングの原則になります。 

① 全面性の原則
トレーニングをする際はすべての面でバランスよく鍛えることでケガの予防にもつながります。

② 自覚性(意識性)の原則
トレーニングを行う場合は、何のためのトレーニングかを自覚することで効果が向上します。

③ 漸進性(ぜんしんせい)の原則
体力の向上に従って負荷も徐々に上げていく。

④ 個別性の原則
体力、能力には個人差があるので、個々に負荷を決めることが大切

⑤ 反復性の原則
トレーニングの効果を得るには繰り返し行う必要がある。

という原理原則が当たりますが、基本的にはこれらは筋力トレーニングなどをもとに考えられているので、サッカーで求められることとは少し異なります。

簡単に言うと、

原理は、
様々なことを、段々難しく、継続して行うこと

原則は、
目的を持って、バランスよく、それぞれに合わせ、繰り返しレベルアップできるようにする。

といったところでしょうか?サッカーのトレーニングにも応用していけます。

 

日頃のトレーニングの流れ

例えば、高学年のクラスで、ビルドアップ(ピッチを広く、ボールを失わずに前進する)を目的に、サブコンセプトとして、視野の確保、パスの強弱、トライアングルの形成、としてトレーニングを組んだ場合、挨拶とテーマの紹介からスタートします。

ウォーミングアップのパスのトレーニングで12人に対して5個ボールを入れて、フリーでパスをします。はじめは何も言いません。

パスの距離感も強弱も、出した後のサポート、視野の確保もバラバラです。一度止めて、パスの距離感は遠い人に対してパススピードを意識する。受ける前に次の出し手を見つける。パスを出したら、次のボールを素早く受けに行く。といった声を掛けると、一段階強度が上がります。

 

そこへ、緑のビブスの鬼と、赤のビブスの鬼をいれます。(ボールは4個に)緑はボールを奪う、赤はボールを持っていないひとをタッチしたら交代とすると、ボールを受ける前、受けた後に対する動きが格段に変わります。負荷や反復、自覚性なども変わります。

 

次のトレーニングでは4対2のロンド。(鳥かご)赤、緑、青の二人一組3グループです。横8メートル四方のグリッド(これは一例)で対面に同じ色で向かい合います。緑二人が鬼。赤と青でポゼッション。仮に青から奪った場合に鬼は赤につなげたら交代し、そのまま続ける。(大切なことは鬼の交代でいちいちプレーを止めずに途切れず継続的に行うことで強度を高めます。)

ここでは、左右のサポートの関係と、視野の確保を意識してボールを回すことを伝えます。ウォーミングアップのトレーニングよりも、守備者の割合が上がり、スペースも減り攻守の要素が入り、難易度も強度も上がります。(特異性、負荷、また漸進性)

この中で、例えば苦手な足のコントロールが上手でない子には、止めて説明して、スローなプレッシャーの中で再現して意識性を高めます。

全体的(仲間と相手がいて、攻守の切替えがある)ではあっても、攻撃方向はないポゼッション的な練習。そこから、人数も増えて、攻撃方向も加えたトレーニングへと発展していきます。

ダブルボックス(ペナルティーエリア2つ分)でミニゴールを両サイドに2個付け、両サイドに一人ずつフリーマンを加え、ゲーム。2ゾーン(自陣と相手陣地)に分ける。4ゴールシステムは3-2でお互い組む。自陣でボールを回す(フリーマンも加わりながら)2トップへボールを入れる、またはファーストタッチで相手のゾーンへ侵入していき、シュートまで。両サイドの幅をとりながら、数的優位でボールを運びながら、縦(攻撃方向)を意識する。

このトレーニングの後に6対6のダブルボックスでGK付きのゲームを行います。ゴールは通常のものにし、GKは組み立てに加わる。ここまでのトレーニングで意識したことをすべて出す場となります。そこでの習熟度を見ながら翌週のトレーニングに反映していきます。

 

サッカーはサッカーをすることでうまくなる。

トレーニングの原理原則を踏まえ、且つサッカーの重要な要素として忘れてはいけない、サッカーは仲間と相手がいるスポーツだということ。似たようなシチュエーションがあっても、全く同じシチュエーションはほぼ100%ありません。

自分の予測通りに、自分のリズムでプレーできるのではないので、不確定要素の割合を残してトレーニングしています。ドリブルの技術トレーニングの際にも、1列になるのではなく、複合的に行い、DFや鬼、他の人の邪魔になる中でのトレーニングになります。

一つ一つの練習メニュー自体は難しいものやそれほど真新しいものはなくても、サッカーをどう構成していくか?またどう伝えていくか?そこは指導者一人ひとり違うと考えています。誰もが楽しめて、個々のスキルを磨きながら、集団として機能して、どこへいっても重宝され、仲間や相手からもリスペクトされ応援してもらえる。

そういう子供たちを育むスクール、そしてトレーニングを築いていきたいと日々試行錯誤しています。

二田水 晶